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でんでん雑記ver2.0


2004/10/15 [金]  あれは誰だ 誰だ 誰だ あれはデビル デビルマン デビルマン

[映画] デビルマン

観てきましたよデビルマン。いやもう散々脅かされたので戦々恐々でしたが、そのおかげなのかなんなのか、そんなにダメージは受けませんでしたよ?

私、思いますに、「この映画にもの凄いダメージを受けた人」ってのは、普段「実写邦画を観ない」うえ、「最初の『デビルマン』KC1〜5巻以外にデビルマンを取り巻く状況を知らない」(それどころかここ15年以上豪ちゃんの漫画を読んでいない)人なんじゃないかなと思います。

この映画がアリかナシか?って話なら、もちろんナシです。役者は大根、脚本はヘロヘロ、アクションはアニメ、原作付きなのに原作をリスペクトしていない(リスペクトに関してはキャシャーンよりは全然マシだけど)と、ぶっちゃけ誉める部分がありません

端的に言ってこの映画、「漫画『デビルマン』のあらすじと名場面のスチルを見て、つまり『BSマンガ夜話』や『デビルマン解体新書』(しかも流し読み)等を観ただけで作ってしまった映画」という感じがします。作り手に漫画「デビルマン」に対する思い入れが感じられ無い。全く「うわべだけデビルマン」な訳です。

かといって、「デビルマン」を抜きにして楽しめるかといわれれば全然そんなことは無く、雑な演技と雑な脚本のせいで普通に楽しむ事すら出来ません。

かてて加えて猛烈に批判したくなるほどの尖り方をしていない。

結論を言えば「平凡な駄作」といえるかと思います。

でも、アンソロ企画「ネオデビルマン」や豪ちゃん本人の「新デビルマン」「デビルマンレディー」「デビルマンゴースト」と比べてそれほど酷いとも思えない

何度も何度も何度も何度も何度も何度もいいましたが、「デビルマン」をどうこうしようとすると、必ず駄作が出来上がるんです。かろうじてOVA版と、衣谷遊のAMONがセーフなぐらいで。あ、あと「レディー」のアニメ版は「駄作」って程酷くはないな。

結局、みんな期待しすぎなんですよ。「邦画」の「実写」で「デビルマン」なんだから、面白くないのは当たり前。そもそも、こんな程度のダメ映画、漫画の実写化じゃ日常茶飯事だぜ?


んでは、以下ネタバレをからめて、細かい感想などを。一応原作ファンとして、主に原作との差異なんかをメインに書いていきます。なんかこう、ネタバレしてても誰も気にし無さそうなので、今回は別に対策はしない。

ちなみに、繰り返すようですが、誉める部分はありませんので貶しっぱなしです。えーっと、そうだなぁ、ミーコが意外と良かったかなぁ。最後の変身する直前までは普通に。した後は馬鹿すぎて。


まず、原作改悪。

一番悪いのは、デーモン族の説明不足と飛鳥了の立ち位置や役回りの改悪。

映画のデーモンは地球の先住民族ではなく、未知の精神生命体かなんかとしか描かれていない。そして、飛鳥了/サタンも、かつて自らが生み出したデーモンをその醜さゆえに滅ぼそうとした神に反逆した堕天使であり、デーモンの神のような存在である、とは何処にも誰にも言われてはいない。「人類抹殺を標榜するただのちょっと強そうなデーモン」って感じにすぎない。

おかげで人類に牙剥く理由も「自身の留守中にこそこそ増えた害虫が、自らが命がけで守った地球を我が物顔ではびこっているのに激怒した」といった明確な動機があるわけではなく、ただなんとなく「嫌いだから」で済ませてしまっており、結果、原作の中核をなす、人類への憎悪、明への愛、デーモン族に対する立場などから複雑に入り組んだサタン葛藤が、「人類嫌いだから滅んじゃえ」「明は好きだから生きてていいよ」程度のなんだか気の抜けたものに成り下がってしまっている。

と、ここまで書いて思ったが、今作のサタンは、非常に「子供っぽい」キャラクタとして扱われてしまっているのかもしれない。

ラストバトル直前、明に「お前を殺す!」といわれて、「俺がお前を殺す!」とか言い出したときは、思わず声に出して「なんでやねん!」と突っ込みを入れてしまったが、戦闘後に明に泣き言を入れるシーンなど、好きな相手に怒られて癇癪を起して、取り返しのつかない事をしてしまって謝る子供と考えれば、なるほどそんな感じかもしれないとも思える。

問題は、何故この映画の脚本家/監督がそのようなサタン像を抱いたのかという事だが、そんなの知ったこっちゃ無いので置いておく。

また、物語冒頭で「自分もデーモンである」と明にカミングアウトしてしまっているのも訳がわからない。明らかに人間のフリをしておいて、最終局面で実は、って方がインパクトあるだろうに。前述したように「サタンが何者か」という部分がすっぽり抜け落ちているこの映画では、「実はサタンなんだよ」といわれても、「ふーん」としか言いようがなかろう。

最初から半分正体を明かしているせいなのか、原作で最終章の幕開けとなる「了の裏切り」のシーンがないのも解せない。TVでデーモンに変わる明を目の当たりにし、了の裏切りに愕然とする明、映像そのものに驚愕しつつ、目の前の明を逃がす牧村家の葛藤など、原作屈指の名シーンなのに。

しかも、このシーンが無いため、牧村家が全滅した後、明が了に宣戦布告をする動機が薄い。かろうじて人類(ひいては美樹)を侮蔑された事に対しての反感で喧嘩を売ったような形になっていたが、そもそもサタンがデーモンの長であると明言されていないため、なんだか肝心な部分がボケてしまっているのだ。

見た目では了と明の愛憎劇を意識している(配役等を見る限り)のに、なんでこう肝心な部分を改悪ばっかりしているんだろう?

とキリが無いので、この辺でサタンがらみは止めにして、他の改悪部分について。いい加減長くなってきたので箇条書きで。

・サバトが無い

多分、時間の都合だろうけど、大人しい明が追い詰められてアモンと合体し、デビルマンとなって嬉々として大虐殺を行うこのシーンは、「デビルマン」という作品の中でもかなり重要な意味を持つシーンなだけに、エッセンスだけでも残しておくべきだったと思う。ってゆーか、映画版、合体前と合体後で、強いか弱いかしか明に違いが出てないのはかなり問題だと思う。「デーモン」になる人間と「デビルマン」になりうる人間の差もわからないしな。

・シレーヌ戦でデビルマン完敗

爪で超能力を封じられたわけでなく、シレーヌを追い込んだ後カイムと合体されたわけでもなく、素のままのシレーヌがデビルマンを圧倒。無傷でデビルマンを倒した。サタンに止められなければ確実にデビルマンは殺されていたはずで、なんっつーか、弱い、弱いよデビルマン!っつーか、シレーヌ、サタンに止められた後、そのまま退場ってどーゆーことよ?アモン=明に横恋慕するシレーヌをサタンが排斥したのか?ならそういう場面を描け。って、多分、冨永愛(顔が草薙剛と金本の兄貴を足して女性的にしたみたいなモデル)的に死んだり腕もげたり腹に腕刺さったり、顔の横にでっかい裂傷が出来たりするシーンはNGだったんだろうなぁ。ならそんな奴使うなよ。

・ジンメン戦

いつもいつも言ってるが、俺はデビルマンの中で一番ジンメン戦が好きなんだよ。地下鉄という逃げ場の無い空間で生きながら喰われ、喰われながら生きつづけた人々の恐怖や、最悪の形で知り合いを巻き込まれた明の憤りや絶望、悲しみ、よりによって心臓の真上に位置するサッちゃんの顔面をぶち抜かねばならないという全盛期の永井豪ならではのエグさ、ほんの数秒の間に凝縮された究極の選択なんかがもうタマラン訳ですよ。

それなのに、あぁそれなのに、原作のサッちゃん、小説/OVAのお母さんに続く3人目のジンメンの弱点の牛久くん(明の友達の男子生徒)は、明に涙一つ流させる事も無く、躊躇いも無く顔面ぶち抜かれて絶命。ダメだ、それじゃダメなんだ!「だが貴様も死ぬんだろ!」とか言いながら甲羅はがすシーンも無かったし。こんなんだったらジンメン出さない方が良かったよ!その分別の部分に尺取れよ!

・悪魔特捜隊

装備が貧弱だなぁ。まぁ通常兵器でデーモンを倒せるので、こんなものなのかも知れないが。またデーモン(人間)狩りの結果捕らえた相手を拷問や研究解剖したりせず殺す一方というのは、やっぱりエグ過ぎるからダメだったのか?その事にも関連して、牧村夫妻の惨状に激怒した明が初めて人間を殺すシーンがカット。これも重要なシーンだけに訳がわからない。

・牧村邸襲撃

実はこのシーン、一階の夫妻襲撃シーンは結構イイと思っている。今まさに暴徒がなだれ込もうかという最後の瞬間、夫に浮気の有る無しを問う嫁とか、なだれ込む暴徒の様など。ここは良かったといっていいと思う。

問題はその後、美樹ちゃんの絶望、これが無い。無いので「魔女」宣言もなんだか軽いし、助けを求めて逃げるシーンも無ければ、今まさに殺さて死に行くシーンもなんだかアッサリ諦めて父母に詫びいれてるし。原作のあの場面は、圧倒的な絶望が描かれていて、それはそれは恐ろしいシーンだったのに。

そして、明が牧村邸に戻ってきた時に既に暴徒が撤収しているのもいただけない。あのシーンは、特捜隊で牧村夫妻の惨状を見せ付けられ、人間に絶望した明が、それでも唯一光を見出す存在として、最後の希望として、美樹を求め、美樹にすがるために戻ってきた牧村邸で見せ付けられたカーニバル、そこで味わう最後の絶望と怒りこそが、一連の無差別悪魔合体騒動編の肝なのに。

映画版の明は誰も居ない牧村邸で牧村夫妻の遺体と美樹ちゃんの生首見つけてただ絶望し、誰に怒りをぶつけるわけでもなく、脱力してるだけなんだもんなぁ。弱い、弱いよ。物語としての押しが弱い。暴徒を焼き殺すのがNGなんだとしても、せめて了のせいでこうなった事にしておけば、最終決戦へのモチベーションになりえたろうに。


えー、その他。改悪以外に感じたこと。

・役者が大根

あー、まぁ、剣崎よりは上手い気がするけどなぁ。まぁ、このぐらいなら日常茶飯事ですよ。

・戦闘シーンが完璧にアニメ

全然実写映画じゃなく、完璧にアニメでトホホ。それも最近の洋画のように実写に溶け込ますような感じではなく、質感からしてCGで、PS2やXBOXのゲームのOPムービ−といった趣。生身の明が学校で喧嘩してたときぐらいの率ならもうちょっと楽しかったと思うんだけどなぁ。

・ミーコ&ススムちゃん大ショック

実は、ミーコとススムちゃんに関しては、「これは結構いいんじゃないか?」と思っている。終わっていく明達の物語と、終りから始まっていくミーコ達の物語が併走しているのは悪くない。まぁ、この映画の場合、他に書くべきことが多いので賛否両論あると思うが。

でもまぁ、そんな中でもちょっと気になったのが、最初にミーコが学校でデーモン呼ばわりされて服脱がされたシーン。その時点でデーモンはまだ殆ど報告されておらず、いじめっ子がそんな行動に出る意味がわからない。せめて、直後の「ロスからの衝撃映像」を先に流しておいてから、ミーコのシーンにするべきだったんじゃないのか?

あとは、ミーコの2段変身後の姿。完全に憑き物が落ちて見た目が普通の人間状態になっているのがダメすぎ。「美しい」としても「美しいデーモン」になるべきだろう。それでこそ、ラストの「デーモンのミーコ」と「人間のススムちゃん」が新たに第一歩を踏み出すというシーンの意味も増すというものだ。

ちなみに、ミーコ2の日本刀アクションは馬鹿馬鹿しくて大笑いしたので、まぁ、よし。だいたいなんでポン刀なんか落ちてたのかと。

・美樹ちゃんにくっついてるストーカーいらね

なんでこんなの入れたのかと。明の正体バレは了の裏切りにしとけ。

・ボブサップいらね

なんで国内ニュースが英語なんだよと。

・KONISHIKI以下略

特殊メイクなしでデーモンってことか?

・豪ちゃん今回はあんまり面白くないなぁ

デーモン役で特殊メイクで出てくれれば面白かったのに。


しかし、こうして書いてみると、(少なくとも俺が考える)「重要な要素」がことごとくカットされてるんだなこの映画。まぁ、それを言い出すと、「デビルマン」は物語のスケールの割に極端に巻数が少なく、元々詰め詰めな内容なんだよ。なので、コレ全部を2時間の映画に落とし込むってのは無理があるんだよな。

どうしてもって言うのなら、「誕生(サバト)シーン」でデビルマン誕生と大乱闘シーンを、次はイキナリ「悪魔無差別合体」でサスペンス&最低限の説明と来て、「牧村邸襲撃」をメインに一番尺を取ってアクションと明と了の関係を掘り下げて、「ハルマゲドン(最後10分ぐらい。あるいはEDテロップのバックでとか)」ぐらい思い切った構成にするべきなんじゃないか?少なくともシレーヌやジンメンの出る幕は無いと思うな。まぁ、それじゃ味気ないという判断だろうけどな。


というわけで、この映画。ダメです。今年観た映画の中でもキャシャーンと双璧をなすダメさ加減。

ちなみに、個人的な評価で言えば役者(と役者の演技)はキャシャーンの勝ち、デザインはデビルマンの勝ち、残りの要素はどっちもどっちってところです。ただ、キャシャーンには監督の個性が迸っていた分、「作品」と呼べる物になっていたけど、デビルマンは作り手の意図が見えない分「商品」とゆーイメージではあります。

閑話休題。

正直この映画をお奨めできる人などいません。「デビルマン」ファンには絶対に面白いと思えないし、ファンで無い人には何処を楽しめばいいのか判らない

なので「デビルマン」と名のつくものは一通り観ないと気がすまないという基地外だけ観にいけばいいんじゃないかな。もちろんその場合でも、ある程度覚悟は必要ですが、私見では「新デビルマン」をKC、ワイド版、愛蔵版、文庫版とも買えたり、ネオデビルマンを全巻そろえたり、デビルマン限定BOX「ARK」を買えたり強烈に理不尽な作りのPS版デビルマン(でもジンメン、っつーかサッちゃんはアレが一番良かったよなぁ)を延々遊べた人なら大丈夫だと思います。つまり俺だ

ちなみに、ネットで言われているほど酷い出来でも無い(この程度なら普通にある)ので、ネットでの余りの悪評に興味を持ったという人は止めておいた方が無難です。きっとそういう人が観た場合、感想は「役者が大根で脚本が雑で意味がよくわからないゴチャゴチャした画面の映画だなぁ」です。70%間違いない。


なんか予想以上に書いてしまったけど、まぁ、デビルマンだししょうがないと思ってください。

とりあえず、今日は「ARK」に付いてきたOVAデビルマンでも観て寝ます。

あぁ、なんでこのOVA版最後まで作られなかったんだろうなぁ。残念無念。しょうもないCDドラマ版なら買ったけどな。 …(´・ω・`)ショボーン

[玩具] ちょっと奥さん、例のアスカのフィギュア、¥1,200-なんですって。

アスカつながりというわけではないけど、予想より安かったので吃驚した記念。

送料コミで\1,200-なら普通に買いかなぁ。あぁ、今月少年エース買わなきゃなぁ。

[野球] http://www.nikkansports.com/ns/baseball/f-bb-tp0-041015-0041.html [nikkansports.com]

なんだよ一場ー。関西来いよなー。

ってゆーか、星野が会いに行ったときはこっち向きだったような報道だったけど、あれって星野の迫力に負けてうなずいちゃったとかそーゆーことなのか?

なんだよ一場ー。なさけないぞー。

[野球] 岡田強烈コキ下ろし「監督が性格変えないかぎりダメ」 [ZAKZAK]

佐藤コーチ 虎に激辛エール [デイリースポーツ]

んあー、そう来たか。なんつーか、こういうゴタゴタがあるとなると、戦力的には問題の無い阪神が低迷するのもしょうがないかなぁ。

まぁ、なんつーか、来年は頑張ってくれ。

[アニメ][おすすめ] というわけで、今OVA版デビルマンを見返しているわけですが

誕生編はまぁ、流石に古いし、出来もそこそこといった感じなんだけど、妖鳥シレーヌ編は今観ても十分いけるよなぁ。

(主にモブキャラの)絵柄はちと古いが作画も悪くないし、アニメならではの派手なアクションはあるし、細かいところも丁寧に作ってあるし、青野武のジンメンは光りまくってるし、美樹ちゃんは可愛いし、ってマジで美樹ちゃん可愛いなぁ。了がシレーヌを撃つ場所が、当時話題の新都庁(建設中)だったりするのもイイし、デビルマンVSシレーヌの戦闘シーンも質、量ともに大充実(このシレーヌは超強い。核爆発?とか起すし)してるし、もちろんシレーヌは美しいし、カイムは漢らしい。

返す返すも続編が作られなかったのは惜しいなぁ。

というわけで、もし万が一「漫画版デビルマン好きだけどこのOVA観た事ない」という人は、この機会にでも是非。去年DVDが出たけので、レンタル屋にもあるかも。

今から観るならコレ。「デビルマン OVAコレクション」Powered by amazon

本日のツッコミ(全3件) [ツッコミを入れる]
絹崎 (2004/10/17 [日]  00:33)

せっかくのご忠告にもかかわらず映画デビルマンを見に行ったため、映画館を出たらポリアンナになっている自分がいました。

さんとお (2004/10/17 [日]  01:21)

いやまぁなんと言うか、ご愁傷様です(^^;;;;;;;;

さんとお (2004/10/17 [日]  01:22)

ところで、「良かった」は見つかりましたか?(^^;;;;;;;;;;;